Recalibration™
「どこを?」
Recalibration tunes presence.
— 視点に支点を据えて —
支点の相対性
— 動いている世界の中で、身体の現在地へ —
安定を、静止と同じにしない
安定とは、まったく揺れないことではありません。
静かに立っているときにも、人の身体は小さく揺れ、その都度、姿勢を保つ働きを続けています。
Recalibration™は、このことから、正面への視線や足元の観察に治療効果があると結論づけるものではありません。
ただ、身体を一つの形に固定することだけを、安定と考えるものでもありません。
小さな揺らぎを含む身体の中で、ご自身が今どこを見て、足元や座面との接触をどのように感じているのかを、その都度確かめてみる。
そのことを、安定について考えるための一つの視点として置いています。
静止して見える支点も、より広い範囲では動いている
前頁では、フーコーの振り子を手がかりに、
「支点を自分の正面で見る」
という比喩をご説明しました。
実際の振り子には、天井から吊られた物理的な支点があります。
その支点は、建物を基準にすれば、ほぼ同じ場所に静止しています。
しかし、建物は地表にあり、地表は地球とともに自転し、地球は太陽の周りを公転しています。
したがって、支点が「動いているか」「静止しているか」を述べるときには、何を基準にしているかを明らかにする必要があります。
物理学では、この基準を「基準系」と呼びます。
等速運動については、特定の一つだけを絶対的な静止状態とする基準系は置かれません。
しかし、ここで大切なのは、
何も固定できない
ということではありません。
部屋を基準にすれば、壁にある一点は、短い時間の観察に用いる十分に安定した目印です。
足元の床も、現在ご自身の身体を支えている場所です。
Recalibration™が比喩として置いているのは、宇宙全体に対して絶対に動かない一点ではありません。
今いる場所で、ご自身が無理なく正面へ視線を置くことのできる、相対的に安定した一点です。
「基準を意識すること」と、「基準を否定すること」は異なります
物理学上、運動の記述に基準系が必要であることから、
医学的な事実も、病気の有無も、すべて見る人によって変わる
という結論が導かれるわけではありません。
医学的な診察、検査、診断には、共有された知見と客観的な根拠があります。
緊急時には、本人の感じ方だけでなく、医学的判断を優先しなければならない場合もあります。
Recalibration™は、それらの基準を否定するものではありません。
また、相対性理論やフーコーの振り子によって、Recalibration™の医学的有効性が証明されると説明するものでもありません。
ここで借りているのは、
目の前の対象だけでなく、どの位置から、どの基準で見ているのかにも注意を向けてみる
という考え方です。
基準を意識することと、基準そのものを否定することは異なります。
身体の「現在地」とは
ここでいう身体の「現在地」は、身体の中にある特定の解剖学的な一点ではありません。
また、すべての方に共通する「正しい姿勢」の座標でもありません。
ご自身が今、
・どこへ視線を向けているか。
・足裏や踵、あるいは椅子との接触を、どのように感じているか。
・身体の左右を、どのように感じているか。
・何か違いを感じているか。
・あるいは、特に何も感じていないか。
その時点での身体感覚を、判断を急がず確かめてみることを、「現在地を確かめる」と表現しています。
私たちの身体は、重力のもとで床や椅子に支えられています。
足裏や座面との接触は、身体が現在どのように支えられていると感じているかに注意を向ける、一つの手がかりになります。
ただし、足元を感じることによって正しい姿勢が分かる、身体が必ず安定する、または症状が改善するという意味ではありません。
無理に姿勢を直す必要も、左右をそろえる必要もありません。
外側の絶対点を探すのではなく
外の世界は動き続けています。
身体にも小さな揺らぎがあります。
そのすべてを静止させる必要はありません。
また、宇宙全体に対して絶対に動かない一点を探す必要もありません。
ご自身が今いる場所で、正面にある相対的に安定した一点へ、無理なく視線を置くこと。
足元や座面との接触へ、短い時間だけ注意を向けること。
そして、ご自身が現在どのように身体を感じているのかを、結論を急がず確かめてみること。
それが、Recalibration™における、
「支点を自分の正面で見る」
という比喩の意味です。
支点は、外側にある唯一の正解ではありません。
現在のご自身の身体感覚へ戻るための、仮の目印です。
注記:物理学上の補足
東京付近の地表は、地球の自転に伴って概算で時速約1,350キロメートルで移動しています。また、地球の平均公転速度は時速約107,000キロメートルです。これらは、基準を変えれば静止して見える支点も、より広い範囲では運動していることを示すための物理学上の補足です。身体の揺れ、姿勢の正常範囲、Recalibration™の観察時間または効果を示す数値ではありません。